前回のお話は、少し専門的過ぎたかもしれません。
一般の方にも分かるように、注釈を入れながら書いてみたいと思います。

閻三針」 で使われる経穴は、閻世燮(エン・スーシェ)の発見した独自のものです。
多くの鍼灸師が使っている経穴(ツボ)とは違いますが、経絡(ツボの流れのライン)には沿っています。

この辺りに解明の鍵がありそうです。

閻三針のツボ 「防老」 について

頭の天辺には 「百会」 という有名なツボがあります。hyakue

「百会」は、両方の耳の上端を頭の上で結んだ線と、頭の中心線(左右に分ける線)の交点にあります。
「督脈」 という、体の後側の中心を上がってくる経絡上にあります。

大変よく使われる経穴で、全身の調整の主役にも脇役にもなります。

私は、自律神経の調整に補助的によく使います。
特に交感神経の興奮を鎮めたい時には便利です。
痔の治療ではメインで使います。

さて、「防老」 は 「百会」 の後ろ1寸にとります(1寸は約3.3cmです)。
「防老」 は、閻三針における最重要穴と考えられます。
閻三針にはバリエーションがあると前回述べましたが、どのバリエーションでも 「防老」 は使われているからです。

鍼を刺入する際は、「百会」 に向かって2~3mm横刺(針を横に寝かせて入れる打ち方)します。

この 「防老」 というツボは 「百会」 に準じて使う、ということで良いと思います。
閻先生は、円形脱毛症は精神的ストレスによる中枢神経系の乱れを調整することがポイントだと述べており、「百会」 の効能と通じるものがあります。

刺入の方向が決まっていることと、中国の鍼にしては深さが浅いことから、頭皮の中にポイントがあるはずなので、意識してポイントを感じ取るようにしないと効かないでしょう。
鍼灸師としての腕の見せ所ですね。

閻三針のツボ 「健脳」 について

huuhu, huuchi両耳の後ろで頚と頭の境目、胸鎖乳突筋と僧帽筋の間に 「風池」 という経穴があります。

「胆経」 という経絡にあって、良く使われる経穴です。

「胆経」 は五行で言うと 「木」 の陽経ですから、精神・肉体の動きに影響します。(すいません。この辺りのことは一般の方には簡単に説明できません。また機会を改めさせてください。)

ensansin point健脳」 は 「風池」 の下1寸5分(約5cm)にとります。
当然、「胆経」 に属する経穴と考えるべきで、用法もこれに準じるべきでしょう。

精神の変動が脱毛症の主たる原因とすれば、「胆経」 は使い易いです。
更に、頭部への循環の改善も目的のひとつになるでしょう。

閻三針のツボ 「生髪」 について

shouhatsu後頭部の真ん中の下の方に、外後頭隆起という骨の出っ張りがあります。
その下の凹みに 「風府」 という経穴があります。

生髪」 は、この 「風府」 と先程の 「風池」 を結んだ線の中央にあります。
経絡は 「膀胱経」 になると思います。

「膀胱経」 は 「水」 の陽経で、毛髪は 「水」 に属しますから、納得しやすいと思います。(分からない方は読み飛ばしてください...)

実はこの 「生髪」 というツボは、私は知りませんでした。
断言はできませんが、私が閻三針を初めて知った時には、発表されていなかったと思います。
今回、閻三針を調べていて、載せているサイトもありましたので加えておきます。
詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。

いずれにしても 「膀胱経」 であれば使い易いツボだと思います。

閻三針のツボの使い方

本来は、詳しい鍼灸師に治療をしてもらうのが一番効果的です。

でも、一般の方でも自分で刺激を加えることで効果を引き出せるかもしれません。
特に 「防老」 のツボは、ポイントが浅いので、期待できます。

やり方はマッサージでも指圧でも良いでしょう。
楊枝のようなものでチクチクしても良いと思います。

大事なのは、頭皮の下にあるツボをちゃんと意識ことです。

最初は何だか分からないかもしれませんが、毎日続けていると、ちょっと違った感覚を得られることがあるはずです。
この感覚が大事です。
効いているはずです。

なかなか言葉で説明するのは難しいのですが、やってみる価値はあると思いますよ。

この辺りの詳しい話は、すこしややこしいのでまた今度お話したいと思います。