月経前症候群(PMS. Premenstrual syndrome)は、最近よく使われるようになった病名ですね。

生理の前になると、イライラしたり、体調が悪くなったり。
実際の症状は人それぞれで、多岐に渡る不定愁訴が現れるので、症候群として表現されています。

月経前症候群

東洋医学としての月経前症候群

西洋医学的に症状を捉えてしまうと、症候群としての複雑な病態に見えてしまう月経前症候群ですが、東洋医学的には比較的シンプルに病状を捉えることができます。
昔から言われている、「血の道症」として考えられています。

今回のケースでは、内分泌系の変動として治療をした例をご紹介します。

40代の女性。
典型的な生理前症候群の不定愁訴を訴えています。

 

腹部瘀血の鍼治療

今回の症例では、内分泌系のバランスをとる鍼治療を行いましたが、特に反応が良かったのは、「腹部瘀血」の処置でした。

「腹部瘀血」というのは、漢方の言葉で、一般にはあまり知られていませんが、東洋医学では良く出てくる症状です。

簡単に言うと
悪い血がお腹に溜まっている状態
です。

生理の不調そのもの、という感じですよね。

でも、「瘀血」というのは、
代謝が悪くなった血、
機能低下をおこしている血、
という概念で、漢方ではよく用いられる表現なんです。

 

腹部瘀血を腕のツボで処置

今回の腹部瘀血の鍼は、動画を撮ってみました。

お腹の圧痛を確かめながら、腕のツボを探しています。
尺沢」という、とても良く使われる経穴を使っていますが、ツボの捉え方が非常にタイトなので苦労しています。
でも、上手く使えば、とても効果の高い鍼だと感じています。

また別の記事にもしますが、応用範囲がとても広くて使いやすいのです。

この刺鍼法は、「長野式」に由来しています。
でも私は、長野式の刺鍼法を本格的に勉強していた身ではないので、あまり偉そうなことは言えません。
プロの方で詳しく知りたい方は、そちらのサイトを参考になさった方が良いかも知れません。

それでも、良く効いてくれる鍼ですね。

今回のケースでも、お腹の圧痛はその場で消えてくれました。

それから、お腹に圧痛が無いときは、このやり方では効果が無いようです。